麻疹(はしか)ってどんな病気で、何が怖いのか
麻疹(はしか)が関東と近畿を中心に猛威を振るっているようだ。
9月14日までの集計では115人の感染者が確認されている。
実際に保育所や国際空港、公的施設での、
利用者や職員の観戦に関するニュースが多く報道されている。
ニュースの中で麻疹の特徴は「高熱や全身の発疹が出る」、「免疫が不十分な年代がいるう」とされ、感染者がいた施設に赴いた人に対して「体調に不安のある人は医療機関を受診するよう」注意喚起が行われていた。
先週同僚たちとの間で、
麻疹の具体的な症状は何?
何に気をつけたらいいのか?
と話題になった。
日々の生活で何をどう注意すればいいのか、まとめたいと思う。
- 麻疹の症状
- どう対処するか
1.麻疹の症状
感染後に10〜12日の潜伏期を経て発症する。またここの症状の発症タイミングが異なり、3つの時期に分けることができる。
<前駆期(カタル期)>
38 ℃前後の発熱が2~4日間続き、倦怠感があり、不機嫌となり、上気道炎症状(咳嗽、鼻漏、くしゃみ)と結膜炎症状(結膜充血、眼脂、羞明)が現れ、次第に増強する。
乳幼児では消化器症状として下痢、腹痛を伴うことが多い。発疹出現の1~2 日前頃に頬粘膜の臼歯対面に、やや隆起し紅暈に囲まれた約1mm 径の白色小斑点(コプリック斑)が出現する。発疹出現後2日目の終わりまでに急速に消失する。また、口腔粘膜は発赤し、口蓋部には粘膜疹がみられ、しばしば溢血斑を伴うこともある。
<発疹期>
カタル期での発熱が1 ℃程度下降した後、半日くらいのうちに再び高熱(多くは39.5 ℃以上)が出るとともに、特有の発疹が 耳後部、頚部、前額部より出現し、翌日には顔面、体幹部、上腕におよび、2 日後には四肢末端にまでおよぶ。発疹が全身に広がるまで、発熱(39.5 ℃以上)が3~4日間続く。発疹ははじめ鮮紅色扁平であるが、まもなく皮膚面より隆起し、融合して不整形斑状(斑丘疹)となる。指圧によって退色し、一部 には健常皮膚を残す。発疹は次いで暗赤色となり、出現順序に従って退色する。発疹期にはカタル症状は一層強くなり、特有の麻疹様顔貌を呈する。
<回復期>
発疹出現後3~4日間続いた発熱も回復期に入ると解熱し、全身状態、活力が改善してくる。発疹は退色し、色素沈着がしばらく残り、僅かの糠様落屑がある。カタル症状も次第に軽快する。
合併症のないかぎり7~10 日後には回復する。
国立感染症研究所HPより一部抜粋した。実際のコプリック斑や発疹の画像もあるので気になる方は下記より参照できます。
http://www.nih.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/518-measles.html
また麻疹には重篤に落ち入りやすい合併症がある。
肺炎や脳症、中耳炎、心筋炎、中枢神経系合併症などで、特に肺炎と脳症は麻疹の死亡原因の2大要因とされている。
2.どう対処すべきか
2010年より日本土着のウィルスは検出されておらず、国際空港での感染のニュースからも推測できるように、海外からウィルスが持ち込まれたと考えられる。
麻疹のは空気感染、飛沫感染、接触感染と様々な経路で感染することがわかっている。一方有用な治療法はなく、対処療法が中心となる。そのためワクチンによる予防(免疫獲得率95%以上)が重要である。
今年の集計ではワクチン接種2回17人、1回24人、0回33人、不明41人であった。ワクチンを打っても罹患する人は抗体価が低いと言われている。そのような人もいるが、ワクチン接種の重要さがわかる。
医療制度の関係より25歳〜40歳前後の年代は、ワクチンを一度しか受けておらず感染リスクが高いと言われている。
大人になって罹患すると重症化すると言われているが、実はそうでもないと言えるデータもある。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kansenshogakuzasshi1970/77/10/77_10_815/_article/-char/ja/
しかしこの報告でも記載されているが、合併症や社会的・経済的な損失を考えれば、大人の感染も十分に注意すべきである。
今できる対策としてはワクチン接種や罹患暦の確認し、ワクチン接種が2回未満であったり、不明な場合は医療機関で抗体価検査を実施する。そして必要に応じてワクチン接種を行うことである。また大都市圏では人口も多く流動性も高いので、今後大流行する可能性がある。感染地域には近づかない、不必要な外出は控えるなどの自衛もしたい。
麻疹に罹りやすい年代は、仕事で多くの人と関わったり、社会を小さな子供持つを世代と重なる。感染した場合非常に多くの影響が出るため、多くの人が正確な知識をもち対処することを願う。